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私たちのくらしと丹沢

私たちのくらしと丹沢 第1部 5.奥山


丹沢のブナ
 丹沢山地のブナ林は、標高800m以上の場所で見ることができます。太平洋側のまとまったブナ林として貴重な存在です。
日本海側のブナ林は、ブナが他の樹木よりも多く生えている森林ですが、丹沢山地のブナ林はブナ以外の樹木の方が多く、シナノキ、カエデ類やツツジ類などいろいろな樹木といっしょに森林をつくっています。

堂平のブナ林(写真提供:渡邊恒美氏)
ブナは高さ20m、直径1m以上にもなる落葉広葉樹です。
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ブナが枯れる!!
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 ブナが枯れる原因は、大気汚染の影響、ブナハバチの大発生などであることがわかってきました。
そのほか、ブナは水をたっぷりたくわえた土を好むことから、シカが下草を食べてしまったり、雪が減ったりして、土が乾いてしまったことも原因のひとつだろうと考えられています。 [総合調査でわかった丹沢のピンチ]
<ブナの葉>
ブナの葉は、春にはうす緑、夏には緑、秋には黄色になり山を彩ります。ブナの落葉は、森林の土になっていきます。
<ブナの実>
やわらかいイガにつつまれ、ふつう2個の実が入っています。ブナの実は、数年おきにしか豊作になりません。クマやネズミなどの多くの生きものの食料になります。写真提供:勝山輝男氏
<ブナの芽生え>
実の栄養分だけで根をはり、ふた葉を開いたあと、光のエネルギーを利用して、枝葉をつくり成長します。
<倒れたブナの木>
寿命を終えたブナの木は、森林の生きもののすみかや栄養になっていきます。また、新しい植物が育つ場にもなります。

ツキノワグマがくらす山
 クマは季節によって、さまざまなものをたくさん食べるため、広い範囲を動き回っています。クマがすんでいるということは、多くの生きものがすめる豊かな森林であることを意味します。
丹沢山地のクマ(ツキノワグマ)は、現在約30頭といわれ絶滅が心配されています。子孫を残していくことや不作の年でも食べ物を得ることも考えて、山梨県や静岡県などのクマとの交流ができるように豊かで広い森林のつながりが必要です。
森林をのぞいてみよう <ツメ痕>
クマがブナの実を食べるために、ブナの幹に登った痕。
下にあるのは、人の手です。
(写真提供:長縄今日子氏)
<フン>
フンを調べるとクマが季節によって、さまざまな森林の恵みを食べていることがわかります。
春:木の実やスズタケの芽(ササノコ)など  夏:ヤマザクラの実や昆虫など  秋:ドングリ類など

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奥山の自然に大きな異変
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 シカはもともとは山のふもとや平野に生きていた動物ですが、農地や住宅地の開発により平野部から追われ、奥山まですみかを拡げてしまいました。
そのため、奥山の下草の様子には大きな変化がでました。シカが食べられる植物は姿を消し、シカが食べない植物ばかりが増えています。
もともと生きていた植物が減ると、その植物をエサやすみかにしていた動物がいなくなるなど次々に大きな問題が起こってきます。このように、シカが奥山にすむようになり、奥山の自然に大きな異変が生じています。

食べることのできないオオバイケイソウなどに囲まれてうずくまっている子ジカ。(写真提供:青木淳一氏)

  


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